無限の扉

それは何故?
螺旋を上る少女が
ひとりきり
御伽話の魔物に
追い詰められて惑う
ひとすじの焔(ひ)が消える
夜の呪術(まほう)に魅入られし
憐れな山羊(ゴート)

白亜の天使があらわれ
すべては悪夢だと囁く
歪んだ刃を差し出し
ここまでおいでと誘う

何処へ堕ちれば救われるの
海も蒼空(そら)もない奈落の底で

どうしてどうして生きてるの
奔って叫んで壊れても
見えない力に引き摺られ
わたしの身体を奪われた
命のない飢えた記憶の中で…

それは誰?
螺旋を上る少女が
ひとりきり
遠くへ惑う声がする

迷宮(まよい)の泉に手を触れ
いつかの想いを捧げた
叶わぬ明日を閉ざして
この腕(て)でわたしを殺した

何を捨てたら赦されるの
白も黒もない無限の時を

どうしてどうして生きてくの
ちぎれた両腕(りょうて)を失くしても
見えない力に引き摺られ
わたしの魂(こころ)を蝕む

誰なら悪夢(ゆめ)なら救えるの?
導く答えを願っても
見えない扉が開かれた
継ぎ接ぎだらけの
この胸を刻みながら
果てる命の中で…